大日如来堂「おだいにっつあん」
歴史
大日如来堂は,正式には雲性山寛行院といい,延寳7(1679)年に浄心という僧侶がこの地に巨大な天然石に刻まれた「大日如来像」を発見し,これを本尊としてお堂を建立して開山しました。当時の仙台は,4代藩主伊達綱村公の時代で,当山の開基は,藩祖政宗公の大崎八幡神社創建よりは70年ほどあとになります。大崎八幡神社の創建により門前町としてこのあたりにも町家が並び,人の往来ができたと思われます。開山後約100年間の歴史は,火災により過去帳が失われて不明ですが,天明年間(1800年頃)に5世伊藤徳應が中興し,その後官明,徳永,敬秀,徳温,大輔,泰輔とお堂を守り続け,現在12世小森谷瑞温が住職を務めております。
未(ひつじ)年・申(さる)年生まれの守り本尊
生まれ年の干支によって,一生の卦体神(けたいがみ)・守護本尊が決められており,古くから「けでぃがみさん」と呼ばれています。未(ひつじ)年・申(さる)年生まれの方の守護本尊は,大日如来であり,大日如来様が一生をお守りいたします。
大日如来堂
大日如来堂は,青葉区八幡の国宝「大崎八幡宮」の表参道石段登り口の左側にあり,地元の人たちに「おだいにっつあん」と呼ばれ,親しまれています。今から340年前,江戸時代の初め頃に開山して以来,続いている古くから伝わるお堂です。ご本尊は,自然石に掘り出された大日如来像で,御利益があらたかなことから参拝が絶えず,ことに元朝や八幡宮のどんと祭にはお参りで賑わいます。縁日は,旧暦6月8日ですが,現在祭礼は行われておりません。
大日如来
大日如来は,大宇宙そのものと言われていますが,分かりやすく言えば万物森羅万象の創造主であり,この世の最高位根本仏です。さまざまな仏様は大日如来が姿を変えたものであり,特に不動明王は大日如来の化身です。また,神仏習合においては,天照大神と同一視されることがあります。
天台寺門宗
大日如来堂の雲性山寛行院の宗旨は,天台寺門宗です。天台寺門宗は,最澄が唐に渡り日本に伝えた天台宗の第5代天台座主円珍(智証大師)が10世紀後半の平安時代に延暦寺を離れ,長等山園城寺(大津,三井寺)に開いた宗派です。「済世利人 菩提の花を咲かせよう」を標語に,「顕・密・修験三道鼎立」を目指しております。また,皆さんの現世利益(げんせりやく)を願って祈祷を行い,無病息災,身体堅固,家内安全,福徳繁栄,長寿延命,縁結増益,魔性調伏などを祈祷いたします。天台寺門宗の末寺は仙台市内では当大日如来堂が唯一です。